インストール前に知っておきたい基本の仕組み
SillyTavernは、一般的なスマホアプリや .exe 単体のソフトではなく、Node.jsで動く軽量な「ローカルWebサーバー」です。起動するとバックグラウンドで小さな黒いコンソール画面が立ち上がり、いつものWebブラウザ(ChromeやEdge、Safariなど)で http://localhost:8000 を開いてチャット画面を操作します。
SillyTavernが担当するのは画面表示とプロンプト・履歴の整理だけで、重いAIの文章生成は接続先のAPI側が処理します。そのため、高価なゲーミングPCやグラフィックボード(GPU)は一切必要ありません。事務用のノートPCやAndroidスマホでもサクサク動きます。本記事のコマンドと設定項目はすべて、2026年11月時点のSillyTavern公式ドキュメントに準拠しています。
WindowsにSillyTavernをインストールする方法
Windows 10 / Windows 11では、Node.jsとGitを入れて安定版の release ブランチを取得するのが一番トラブルの少ない公式推奨手順です。
注意: 公式のWindowsインストールガイドで強く警告されている通り、Windowsの管理下にあるフォルダ(C:\Program Files、C:\Windows\System32)や、OneDriveで同期されているフォルダ(OneDrive配下の「デスクトップ」「ドキュメント」など)には絶対にインストールしないでください。また、Start.bat を右クリックして**「管理者として実行」するのもNG**です。パッケージ導入時に権限エラーが起き、正常に動かなくなります(なお、Windows 7は現行のNode.jsが動かないため非対応です)。
Windowsへの導入ステップ
- Node.js LTSをインストールする: nodejs.org にアクセスし、LTS(推奨版 / Long Term Support) のインストーラーをダウンロードして、標準設定のままインストールします。
- Git for Windowsをインストールする: gitforwindows.org からインストーラーをダウンロードし、すべてデフォルトのまま「Next」で進めてインストールします。
- インストール用のフォルダを用意する: エクスプローラー(
Win + E)を開き、C:\GamesやC:\AIのような通常のフォルダ(またはOneDrive同期外のユーザーフォルダ)を開きます。 - そのフォルダでコマンドプロンプトを開く: エクスプローラー上部のアドレスバーを直接クリックし、
cmdと入力して Enter を押します。そのフォルダを作業場所にした状態で黒いコマンドプロンプトが開きます。 - 安定版(releaseブランチ)をクローンする: 次のコマンドを貼り付けて Enter を押します。
git clone https://github.com/SillyTavern/SillyTavern -b release- SillyTavernを起動する: 新しく作られた
SillyTavernフォルダを開き、中にあるStart.bat(拡張子を表示していない場合はStart)をダブルクリックします。
初回起動時は必要なnpmパッケージが自動ダウンロードされ(1〜2分ほどかかります)、完了するとブラウザで自動的に http://127.0.0.1:8000 が開きます。
ヒント: アップデートやバックアップをボタン操作で行いたい場合は、公式チームが提供している SillyTavern-Launcher を導入し、installer.bat からメニュー形式で管理する方法も便利です。
Androidスマホ(Termux)にSillyTavernをインストールする方法
SillyTavernには単体のAPKアプリはありません。代わりに、Android上でLinuxターミナル環境を動かせる無料アプリ Termux を使ってPC版と全く同じNode.jsサーバーを起動し、スマホのChromeやFirefox、Braveなどのブラウザからアクセスして遊びます。
注意: Google PlayストアからTermuxをインストールしないでください。 SillyTavern公式のAndroidガイドでも案内されている通り、Playストア版は更新が止まった古いビルドであり、リポジトリが壊れていてパッケージが入りません。すでにPlayストア版を入れている場合は、先にアンインストールしてください。
Android(Termux)への導入ステップ
- F-DroidまたはGitHubからTermuxを入れる: F-Droid(推奨)または Termux公式GitHub Releases からAPKをダウンロードしてインストールします。
- ミラーサーバーを選んでパッケージを更新する: Termuxを開き、以下のコマンドでミラーを選択してから基本パッケージを最新化します(確認が出たら
Yと Enter を押します)。
termux-change-repo
pkg update && pkg upgrade- Git・Node.js LTS・Nanoをインストールする: 以下のコマンドをそのまま実行して、必要なツール一式を入れます。
pkg install git nodejs-lts nano- SillyTavernをクローンする: Termuxのホームディレクトリに安定版の
releaseブランチをダウンロードします。
git clone https://github.com/SillyTavern/SillyTavern -b release- サーバーを起動する: フォルダへ移動して起動スクリプトを実行します。
cd ~/SillyTavern
bash start.sh画面に SillyTavern is listening on IPv4: 127.0.0.1:8000 と表示されたら、スマホのブラウザを開いて http://localhost:8000 にアクセスすれば完了です。
Androidで通信切れ・強制終了を防ぐ2つの必須設定
- Termuxの「Acquire wakelock」をオンにする: Androidは省電力のため、バックグラウンドに回ったアプリを容赦なく停止させます。ブラウザで長文を打っている最中にサーバーが落ちるのを防ぐため、スマホの通知欄を下にスライドし、Termuxの通知にある 「Acquire wakelock」 をタップしてください。あわせてAndroid本体の設定からTermuxのバッテリー使用量を「制限なし(Unrestricted)」にしておくと安心です。
- キャラカードが多い場合は遅延読み込み(Lazy Load)を有効にする: スマホ内に何百枚ものキャラクターカードを入れている場合、Termuxで
nano ~/SillyTavern/config.yamlを開き、performance:の下にあるlazyLoadCharacters: trueとuseDiskCache: falseを設定しておくとメモリ不足を防げます(保存はCtrl + X→Y→Enter)。
iPhone・iPad(iOS)でSillyTavernを使う3つの方法
AppleのiOSはバックグラウンドでNode.jsのローカルサーバーを動かすことを許可していないため、iPhoneやiPad本体に直接SillyTavernをインストールすることはできません。その代わり、PCやクラウド上で動かしているSillyTavernにiPhoneのSafariからアクセスして遊びます(SillyTavernの画面はスマホの縦画面に自動で最適化されます)。
遊ぶ場所や環境に合わせて、次の3通りの方法から選べます。
方法1:自宅PCで起動し、家のWi-Fi経由でiPhoneから繋ぐ(無料・プライバシー万全)
自宅のパソコンをつけっぱなしにしておけるなら、同じWi-Fi(家庭内LAN)を通じてiPhoneからPCのSillyTavernに直接アクセスできます。
- まずPC側でSillyTavernを一度起動して初期設定ファイルを生成させてから、サーバーのウィンドウを閉じます。
- SillyTavernフォルダの直下にある
/SillyTavern/config.yamlをメモ帳などのテキストエディタで開きます(※/SillyTavern/default/config.yamlの方ではないので注意してください)。 - 公式のリモート接続ガイドに従い、
listen: falseをlisten: trueに書き換えます。 - アクセス制御を設定する(必須): セキュリティ保護のため、
listen: trueにした状態ではIPホワイトリストかパスワード認証のどちらかを設定しないとSillyTavernが起動を拒否します。自宅Wi-Fi内で使うなら、config.yamlのwhitelist:にローカルネットワークのIP帯を追加するのが簡単です。
listen: true
whitelistMode: true
whitelist:
- ::1
- 127.0.0.1
- 192.168.0.0/16
- 10.0.0.0/8
- 172.16.0.0/12- PCのローカルIPv4アドレスを調べます。Windowsなら
Win + Rを押してcmdを開き、ipconfigと打って IPv4 アドレス(例:192.168.1.25)を確認します。 - PCでSillyTavernを起動します(Windowsファイアウォールの確認が出たらプライベートネットワークでの通信を許可してください)。同じWi-Fiに繋いだiPhoneでSafariを開き、
http://192.168.1.25:8000にアクセスします(https://ではなくhttp://です)。
方法2:Tailscaleを使って外出先から自宅PCのSillyTavernに繋ぐ(無料・安全)
自宅ルーターの8000番ポートを直接インターネットに開放(ポート開放)するのは危険なので絶対にやめましょう。外出先のモバイル回線から自宅PCのSillyTavernに繋ぎたい場合は、公式のトンネリングガイドでも推奨されている無料のプライベートメッシュVPN Tailscale を使うのが一番安全で確実です。
- PCとiPhone(App Store)の両方にTailscaleをインストールし、同じアカウントでログインします。
- PCの
/SillyTavern/config.yamlを開き、listen: true、whitelistMode: falseにしたうえで、HTTPのパスワード認証(basicAuthMode: true)を有効にします。
listen: true
whitelistMode: false
basicAuthMode: true
basicAuthUser:
username: "yourname"
password: "a-strong-password"- PCのSillyTavernを再起動します。iPhoneでTailscaleをオンにし、Tailscaleアプリに表示されている自宅PCのTailscale IPアドレス(
100.x.y.z)をコピーして、Safariでhttp://100.x.y.z:8000を開きます。
方法3:クラウド版SillyTavern(VPSホスティング)を使う
パソコンを持っていない場合や、PCの電源をつけっぱなしにしたくない場合は、クラウドの小型VPSを借りてSillyTavernを動かす方法(コミュニティでは「クラウド酒場」などと呼ばれることもあります)があります。
- メリット: PCを起動しておかなくても、iPhoneやタブレットから24時間いつでも自分のSillyTavernにアクセスできます。
- コストとプライバシーの注意点: 自分専用のVPSを借りる場合、月数百円〜数ドルのサーバー代と基本的なLinux操作が必要です。一方で、第三者が安価に貸し出している「共有の非公式ホスティング」には十分注意してください。サーバーの管理者はあなたの
data/フォルダ(プライベートなチャット履歴、キャラカード、保存したAPIキー)をいつでも丸ごと閲覧できます。クラウドで動かすなら必ず自分名義のプライベートVPSを契約し、HTTPS化とbasicAuthMode: trueのパスワード設定を行ってください。
最初に覚えるべき画面上部9つのアイコンの役割
初めて http://localhost:8000 を開くと、画面の一番上に9つのアイコンが並んでいます。左から順番にそれぞれの役割をまとめました。最初は1番(スライダー)、2番(プラグ)、**9番(名刺カード)**の3つだけ分かればすぐに遊べます。
| 左からの順番 | 公式パネル名(英語UI) | アイコンの見た目 | 何をする場所か(ひとこと解説) |
|---|---|---|---|
| 1 | AI Response Configuration | 横向きのスライダー3本 | 返信の長さやTemperature(温度)、そしてプリセットの読み込みやプロンプトの並び替えを行う Chat Completion Prompt Manager を管理します。 |
| 2 | API Connections | 電源プラグ | AIモデルの提供元とSillyTavernを繋ぐ場所です。Chat Completionを選び、APIエンドポイントURLとキーを入れてモデルを選択します。 |
| 3 | Advanced Formatting | アルファベットの A | ローカルモデル等でText Completionを使う際のテンプレート設定です。Chat Completion形式のAPI(Claude・Gemini・DeepSeek)を使う場合は触らなくて構いません。 |
| 4 | World Info | 本の上に地球儀 | 会話中に特定の単語が出たときだけ裏設定をプロンプトに自動挿入する**ロアブック(Lorebook)**を作成・インポートします。 |
| 5 | User Settings | 人型と歯車 | 画面のテーマカラー、フォントサイズ、吹き出しの見た目、メッセージの動作などをカスタマイズします。 |
| 6 | Backgrounds | 風景画のフレーム | チャット画面の背景壁紙を変更します。 |
| 7 | Extensions | 3つの立体キューブ | 正規表現(Regex)スクリプト、チャットの要約、画像・音声機能などの標準拡張や、GitHubからの外部プラグイン導入を管理します。 |
| 8 | Persona Management | 笑顔のマーク | 物語の中であなた自身({{user}})がどんな人物か(名前・アイコン・外見や設定)を登録し、チャットごとに切り替えます。 |
| 9 | Characters | 名刺カード(一番右) | .png や .json のキャラクターカードを読み込んだり、新しいチャットや複数キャラのグループチャットを始めたりするキャラ一覧画面です。 |
APIを接続して最初のロールプレイを始める手順(所要時間2分)
SillyTavern本体にはAIモデルが入っていないため、メッセージを送る前にまず左から2番目のプラグアイコン(API Connections)でAPIを繋ぎます。ここでは TavernAPI を接続してロールプレイ専用プリセットを読み込む手順を紹介します。
- API Connections(プラグアイコン)を開く: API を
Chat Completionに、Chat Completion Source をCustom (OpenAI-compatible)に設定します。 - エンドポイントURLとAPIキーを入力する:
- Custom Endpoint (Base URL):
https://tavernapi.com/v1(※末尾に/chat/completionsは付けないでください) - Custom API Key: TavernAPIのコンソールで発行した
sk-tav-...のキーを貼り付けます。
- Custom Endpoint (Base URL):
- 接続してモデルを選ぶ: Connect をクリックし、Available Models のドロップダウンから
gemini-4-argon、claude-opus-5.5、deepseek-v4-proなど、1M(100万)トークン対応の公式5モデルから好きなものを選びます(どれを選ぶか迷ったらロールプレイ向けAIモデル5選の徹底比較を参考にしてください)。 - TavernAPIの専用プリセットをインポートする: コンソールからプリセットのJSONファイルをダウンロードし、一番左のスライダーアイコン(AI Response Configuration)を開いて、Chat Completion Presetsの横にある Import ボタンから読み込みます。出力文字数、出力言語(日本語など)、AIが勝手に
{{user}}のセリフや行動を書かないための乗っ取り防止ルールはSillyTavern上のプロンプトリストで自由にオン・オフでき、ロックされたコア執筆ブロック([[tav:...]])は自動プロンプトキャッシュと一緒に当サービスのサーバー側で自動展開されます。
もし接続時にエラー(401、402、429 など)が出た場合や、サーバーロック型プリセットの詳しい仕組みを知りたい場合は、SillyTavern API接続&エラー解決ガイド、専用RPプリセットの解説ページ、他のAIロールプレイツールとの比較、トークン料金表、およびよくある質問(FAQ)をあわせてご覧ください。